季節のsingle『komorebi』

komorebi

こんにちは。

この記事は、季節のsingle『komorebi』の詳細について載せています。
もしまだ飲んでいない方で、産地の情報や風味の詳細について知りたくない方は、また後ほど読んでいただけると幸いです。

澄んだ新緑をイメージした『komorebi』。
私がはじめてこのコーヒーを飲んだとき、ぱっと頭に浮かんだのがこの光景でした。

若々しい木々が気持ち良さそうに揺れ、セキレイやイソヒヨドリの鳴き声が遠くから聴こえてきます。風が擦れる音に耳をすませ、枝葉の隙間から差し込んだ木漏れ日は、私たちの心を温かく照らしてくれるよう。

この珈琲を一番に取り扱いたいと思っていたのは、品質として素晴らしいからだけではありません。私がバリスタとして一緒に切磋琢磨してきた仲間である門川が、生産者から直接買い付けたコーヒーだからです。

約3年ほど前、彼は当時仕事にしていた大手コーヒーメーカーを退職し、青年海外協力隊としてコーヒー産業に従事することに。産地にずっと関心があったこともあり、念願叶ってのことでした。しかしながら、その産地はエルサルバドル 。彼の出国前のイメージでは治安の悪い国という印象が強くあり、生きて帰ってこれるのかという謎の心配をしていたことをとても覚えています。

当時京都の出町柳に職場があったため、近くの下鴨神社にて様々なお守りをとにかく買い、彼の出国前の見送り会で彼に渡しました。ちょうどコロナの影響もあって2年を待たず帰国し、彼は日本とエルサルバドルを繋ぐコーヒーブランド『COYOTE』を立ち上げました。COYOTEで門川とチームで運営する寺田とは、コーヒーの抽出を競う大会でいつも顔を合わせる良きライバルでもあります。

まだまだコーヒーの業界に入ったばかりの頃から、切磋琢磨して成長してきました。同い年で活躍する彼らのコーヒーを、まずは使いたい。そんな想いから、siecaをはじめて一番に彼らから買い付けた生豆が今回の『komorebi』でした。

この珈琲は、彼らが直接ミレイディ農園の農園主であるエベルさんから買い付けているので、日本で彼らしか持っていません。特にこのゲイシャ種は、エベルさんが初めて栽培に挑戦した品種。収量もわずかではありますが、その珈琲をほんの少しだけ分けて貰いました。

もしまた今年収穫できたなら、来年も取り扱いたいコーヒーです。
ぜひ楽しんでみてくださいね。

ミレイディ農園 – エルサルバドル
生産者:エベル ディアス
生産地域:チャラテナンゴ県、エル・トゥネル
標高:1350-1450m
品種:ゲイシャ
精製方法:ナチュラル
収穫時期:2020年 1-2月
焙煎度:中浅煎り

産地のこと

ホンジュラス国境付近に位置する『ラ・パルマ』の北部、『エル・トゥネル』という地域にエベルさんの農園があります。自宅に小さな発酵槽や乾燥棚を作り、3ヘクタールと小さい農園ながら、とても品質の良いコーヒー生産に取り組んでいるエベルさん。収穫したコーヒーチェリーの攪拌を、学校帰りの無邪気な子供たちと一緒に行うような、和やかな光景も見えるようです。

風味のこと

ボタニカルな爽やかさがあり、華やかな香りは若々しい新緑を感じさせてくれるよう。マンゴーを思わせるとろっとした甘さに、りんごのような瑞々しい果実味。飲み終えた後まで続く余韻が心地いい。木漏れ日がきらきらと差し込み、セキレイがさえずる朝。温かい日の光を浴びながら、ゆっくり飲みたくなるようなコーヒーです。

ゲイシャ種について

珈琲の品種は大きく分けて3種類に分類されます。
ひとつは、ロブスタ種。低地でも育ちやすく、病気や乾燥にも強い品種ですが、カフェインやクロロゲン酸を多く含み、雑味や渋みが強い。また力強い味わいになりやすいことが特徴的です。低コストで生産でき、収量も多いので、大量生産される場合に多く見られる品種です。一般的に品質が良いとされるスペシャルティコーヒーでは、まず見かけません。

もうひとつは、リベリカ種。これはコーヒー三大原種と呼ばれていますが、あまり見かけることはなく、流通量も全体の数%にしか満たないもの。その原因は風味特性や収量の少なさ、耐病性の低さにあると言われています。背が高く、よく根をはるためどんな土壌でも育ちやすいというメリットがあり、香りがとても甘くて強いリベリカ種。その他のコーヒーノキから害虫を守るおとりとして栽培されていると、マレーシアのコーヒーシンポジウムで発表されていた記事を見た記憶があります。

そして最後にアラビカ種。繊細であり病気や乾燥に弱く、高地で手間をかけて育てないといけないために、生産条件が厳しいのが特徴です。その代わりとても風味に優れ、一般的においしいと評価されるコーヒーは全てこのアラビカ種なんです。そして、このアラビカ種のなかでも特に繊細であり収量の少ないのが、ゲイシャという品種です。

とても風味豊かな一方で、希少価値が高いこの品種。ゲイシャ種を用い、品評会の1位となった生豆は1kgあたり、約20万円で取引されることもあるんです。今回の『komorebi』も150gで1450円と、ちょっと高いと感じた人も多いですよね。ゲイシャ種の珈琲豆であれば、実はかなり安い方なんです。。。余談ではありますが、このゲイシャという名前は、コーヒーの起源であるエチオピアのゲシャ村で発見されたことから付いた名前であり、日本の芸者とは全く関係はありません。

あっと驚くような風味は、本当に珈琲なのかと疑ってしまうほどフルーティ。珈琲って本当に面白いです。ちょっと品種のことについて書きましたが、品種から見る珈琲もとっても面白いので、またどこかでお話しようと思います。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。